【交錯】【逆鱗】【交錯】【+硬】【搦手】
【無想】【寝首】【+硬】【的割】【+硬】
準決勝が終わってから、決勝までの僅かな間。
かるては医薬品の補充と決勝の準備を理由に、一度、皆のもとから離れた。
漂着からこちら、傷病者の看護のために設えられた小さな野戦病院のような区画。
かるてのパーソナルスペースは、それに付随して他の漂着者の誰よりも明確に区分けされている。
薬品が一杯に詰まった黒い鞄、煮沸消毒用の石のかまど、客船から運び出された機材。
剥き出しの土の床には、ドライバーやレンチのような工具も投げ出されていた。
なにしろ、かるての専門分野には節操がない。
もちろん主たる専攻分野は持っているが、必要に迫られれば、かるては機材さえ自作する。
そして現在は遭難事故の真っ只中、「必要に迫られない」分野などあるはずがない。
だから求められればなんでもしたし、そうでなくても興味が湧けば、こんな島でもなんだってする。
最後の対戦相手の顔を思い浮かべながら、かるてはその雑然とした空間の隅、銀の箱に手を伸ばす。
この島はそれなりに面白いけれど、肉体労働はやっぱり向いてないみたい。
勝っても負けても、このイベントはもう終わり。
幸い、収集したかったデータはだいたい集まった。
戦いにも医者の真似事にも飽きたところだし、わたしはそろそろ本業に戻りたいね。
でも、飽きたから手を抜いて負けるなんてことは、もちろん、しない。
だってわたしは、わたしに不可能があるなんてこと、これっぽっちも思ってないから。
やさか
http://twitter.com/#!/yasaka1117
【交錯】【+硬】【交錯】【玉響】【玉響】
【無想】【待伏】【+速】【玉響】【一閃】
彼女はただ、目の前のやるべきことを精一杯こなした。
勝利することが自分の存在の獲得につながると信じていた。
本当は誰かに止めてほしかった。
けれども誰も彼女を止めることができなかった。
記憶の片鱗は不明確で一貫性がなかった。
今の彼女と結びつけて考えることができなかった。
名前すら定かではないと思えた。
―島のリーダーになったら、私は何者かになれるのかしら。
今まさに彼女は自分の存在を獲得しようとしていた。
ミカサ
http://twitter.com/w_ms